11.低血圧な妹

  朝、布団を剥ぎ取られ、仕方無しに寝惚けたままリビングに向かう。
 気づくと歯を磨き顔を洗っていた。食事を終えたのはうろ覚え。
 再びうっつらとする。
 少し頭がはっきりしてくると兄貴に手を引かれ道を歩いていた。
 自分の服を見下ろすときちんと制服を着込んでいる。まるで服を着替えた記憶がない。
 目を覚ましたことに気づいた兄貴が手を離す。
 目をゆっくりと閉じる。
 寝るつもりはない。
 再び手のひらが暖かくなる。
 そんなつもりはなかったのに、また意識に霞がかかる。
 今度は親友に肩を押され席についているところだった。
 前の席に座った親友に朝の挨拶をする。
「やっと起きた?」
 冷えた右手を開いたり握ったりくり返す。
「どうしたの?」
「別に」
 そんないつもの朝の風景。

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