12.捏造はしていない!
「兄貴……」
妹が帰ってきたかと思うと蚊の泣くような声で俺を呼んだ。
「どうしよう……」
どうしようって、……いったい何をどうしようというんだ?何があったんだ!?なんかヤバイことじゃないだろうな!?
転んだ弾みに誰かを階段で突き飛ばしたとか、小テストで零点とっちまったとか、からまれて友人をおいて逃げてきたとかってそれはないか。
どちらにせよ不安がるな妹よ!
「俺は何があってもおまえの味方だ!」
「学校で他のクラスのヤツに……」
何!!まさか襲われたんじゃないだろうな!
「名前は!」
弁護士も裁判官もいらん!死刑確定即執行!!!!!
名前は以前から妹に懸想していたヤツだった。
いいだろう、生き地獄を見せてやる。
「そいつに……好きって言われた」
……は?
……何だそんなことか……。
いや、それはそれでゆゆしき事態だ!
「そいつと知り合いだったのか?」
「今日はじめて話した」
「印象は?」
どちらでもないと答える。
ということは好きでも嫌いでもないということか。
今日はじめて知った相手なら当然かもしれない。
いま好きでないんなら簡単だ。
「二、三日待ってみろ、答えがでるから」
一週間後。
「告白してきたヤツどうしたんだ」
「なんか停学中だって」
「あれ?まだ明けてないのか」
「?」
「気にするな」